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2010.08.08

昔々の交換日記

10年以上前のファイルを、クローゼットの中から見つけた。

厚紙で出来たファイルには大小さまざまなサイズのノートが収まりきらずに飛び出していた。

その一冊一冊に、拙い字で書いたメモが貼ってある。例えばこう。

「4さつ目 おわった日20XX年1124日(水)」


中をめくると、色ペンで「3日以内にまわそう」の文字。

そう、小学生のころ仲の良い数人でやっていた交換日記のノートたち。日記らしい事を書くのは稀で、イラストで埋まっている。

学校で毎日のように会っていたから、日常の報告なんていらなかったのだろう。あったとして、誰それの言動に困ったとか先生が厳しかったというような愚痴の類、行事の感想などだった。そして、面と向かって話せないからこそ、恋バナが幅を利かせていた。好きか嫌いか、告白するかしないかで延々と盛り上がるのを読んでいると、可愛らしすぎて10年後のこちらの方が恥ずかしくなる。

そんな青春の塊のようなノートを捲っていくうちに、忘れかけていた私と対面した。

「ボク」という私。

ボクと言う一方で、誰がカッコいい、誰が好きと盛り上がる私。

負けず嫌いで、見栄っ張りで、でも自信のない私。

それを誤魔化してぼかしてくれる「ボク」。

そう、私は「ボク」だった。「ボク」と言って強いんだって、走り回った。スカートも赤も嫌い、ズボンや水色が好き。放課後はコンビニで肉まんとピザまん買って、秘密基地に走って、遊び疲れて肉まんが冷めた頃に友達と並んでパクついた。

 自然が少ない町。雑木林や空き地が減る一方、一軒家が狭い敷地に立ち並んで、マンションが年々増えていく町の中、小さな存在だった私は少しでも背伸びしたくて「ボク」で過ごした。

 今もまだ、私は同じ町にいる。秘密基地だった木々や林は無くなってしまった。もう「ボク」と言う事もないし、ズボンや水色よりは、スカートや赤が多い。

「ボク」だった私が見たら、目を丸くするだろうか。いや、ほっと溜息をつくのではないだろうか。「ボク」は自然体で「わたし」という人に憧れていたのだから。

毎日、必死だったなぁ…「ボク」なりに。

 ただひたすら微笑ましくて、大人のつもりだったのが幼すぎて、可愛いと思ってノートを閉じた。

あれから10年。そろそろ小学校に埋めたタイムカプセルが開かれよう。

懐かしい「ボク」が待ってる。

懐かしむ「わたし」が待ってる。

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